心に余裕のなかった頃の朝は、
特別な思い入れはなかった。
目覚めた時から一日のスケジュールが動き出し、
自分の心の声を聞くこともなく、
顔を洗い、家事をして、
一日が始まっていった。
私の朝は、
少しずつ変わってきたのかもしれない。
気がつけば、
朝、自然に目覚めるようになっていった。
眩しい光が射し込む朝もあれば、
柔らかなグレーの曇り空の朝、
しっとりとした空気をまとう雨の朝もある。
目覚める時に聞こえるのは、
自然の音くらいだ。
そんな朝の静けさが、
いつの間にか好きになっていた。
窓を開けると、
少しひんやりした空気が入ってくる。
まだ車の音も少なく、
家の中も静かだ。
白湯を飲む日もあれば、
コーヒーを淹れる日もある。
本を読むこともあるし、
ただぼんやり外を見ることもある。
何かをしているようで、
何もしていない時間だ。
そんな時間を過ごせるようになってから、
頭の中が少し整理されていく。
そんな感覚が心地よい。
考えがまとまったり、
気持ちが落ち着いたりする。
いつもどこかにあった焦る気持ちも、
静かに姿を隠していく。
静けさには、
そんな力があるのかもしれない。
朝の時間を有効活用したいわけではない。
習慣化したいわけでもない。
何かを頑張るためでもない。
ただ、
音の少ない時間の中で過ごしていると、
心が少し凪いでいく。
最近は、
そんな朝の静けさの中にいるのが好きだなぁ、
と感じる。
それだけで十分なのだと思っている。


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