あの頃の私が、勝手に背負っていたもの

暮らし

あの頃の私は、勝手な思い込みで、夫の気持ちを忖度し過ぎてひとりで空回りしてることが多かった。「こうしてほしいと思っているはず」「これは私がやって当然だと、彼は思っているはず」

そんなふうに考えてしまって、簡単な家事を頼むことすら出来なかった。すべて自分がやらないといけないと、思い込んでいた。

物理的にも、夫は私より長い時間、外で働いている。食事の支度、洗濯、掃除。これらをこなさなければ、日常生活は乱れて、溜まっていく。だから、私がやらなきゃ仕方ないじゃない・・・と。

常に、悶々としていた。

子供達が家を出てからは、それがさらに加速した。何十年もルーティンになっていた食事作りは、特に夕方になると気が滅入り、本当に億劫だった。

そんな少し鬱々とした日々が続いていた頃、私の仕事時間が、朝から夜のシフトへと移動になった。

偶然にも同じ頃、夫が「少し減量したいから、YouTubeで見つけたダイエット食を試してみたい」と言い出した。

チャンスだと思った。

お弁当は今まで通り作ること。その代わり、その食事は夜にしてほしいこと。そして、家事が負担になってきてること。出来ることは、やってほしいこと。

正直な気持ちを、打ち明けてみた。

最初は、強い口調でお互い意見を主張し合った。一日では終わらなかった。

けれど何度か話し合いを重ねるうちに、相手を責めるよりも「分かってほしい」という気持ちのほうが強くなっていった。

夫は、会社でのストレスが大きく、私を気遣う余裕がなかったこと。食事作りがそんなに負担なら、作らなくてもいいのに、と思っていたこと。

そして、やれることは、これからやっていきたい。そんな心の内を、少しづつ話してくれた。

「お互い、無理のないように生活していこう」

そう、静かに夫が言った。

すべてを理解して、すべてが地についたわけじゃない。それでも、少し前に進めた瞬間だった。

心の中を言葉にできたことで、思っていた以上に心が軽くなっていった。夕方が来るたびに気が重かったあの感覚も、いつのまにか少し薄れていた。ほんの少し、肩の力が抜けた。

それだけで、今は十分だと思えた。

夫の言葉ひとつひとつに、過敏に反応しなくなった。夫がいても、いなくても、食事は作る。そう思えたとき、不思議と気持ちが落ち着いていた。

先日、夫に「最近、楽しそうだね」と言われた。そうかもしれない、と思った。

また波風が立つ日もあるだろう。そのたびに、少しづつ整えていけたらいい。 

今は、そう思っている。

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